小波に輝く水面を上に見上げながら。
少し照明を落とし、ひんやりした地下の室内に、水の合間をすり抜けてきた優しい青い光。
一面は総ガラス張り。
地下のガラス越しから見る、イルカ達のゆったりとした泳ぎ。
イルカ達は気の合う数匹で、競うこともなくゆったりと50メートルほど奥行きのあるプールを泳ぐ。
水面を撫でるように向こうの壁まで泳ぎ、綺麗な楕円を描くようにUターンして、今度はプール底を撫でるようにこちらに向かってくる。
時折、水面に出て息継ぎをする。
そして、含んだ空気がシャボン玉のようにふわふわと上昇して行く。
きらきらとしている。
時間がゆったりと流れる。
ただ、眺めている。
イルカ達はなにを想い、円を描くのか。
どれくらいの時間を眺めていたか。
どこかのふたりの兄妹が、ガラスに触れながらイルカと語る。
もうしばらくこの時間を味わいたい。